書下ろし小説FRIENDS執筆にあたって "LASTEXILE"SERIESでの一番の拘りは, 2人で協カしながら人と関わつて生きて行く "TANDEM〓BUDDY" です。 そこを根幹に, "誰かのために何が出来るか" とか, "自分を捨ててでも何かをしてあげたい" という気持ちが流れています. だけど気持とよ裏腹に、 時間の流れとか運命とか不条理なもので...例えば、 僅かなすれ違いや言葉足らず, そして時間的なズレでCHARACTER達は翻弄されてしまう. それに対してどうやって抗っていくかを描いています. たくさんのCHARACTERが出てきますが, 描かれている中には, 無駄なCHARACTERは1人もいません. 前作の最終回, ほんのわずかな時間のすれ違いでWINAが, ALEXの言葉を伝えることが間に合わずに, SOPHIAはDELPHINE艦を撃つ命令を下してしまいます. そのことでSOPHIAは, 重い十字架を背負うことになりました. だけど、 DELPHINE艦の爆発がなければ, CLAUSとLAVIEがGRANDSTREAMを越えることはなかつた. それら全てが絡み合って物語が進んで行きます. この作品のそういう部分が, 今でも好きです. ただ、 DIOについては, SCENARIOを書いたときに "風が通り過ぎたときにはDIOの姿は消えていた" という風にして, 見た人が "DIOはどうなったんだろう" という余韻と想像の余地が残るようにしていたのですが, 発注したCONTINUITYが上がってきたときに-風がドンと吹いたら, DIOが吹き飛んでいた- という表現になっていました. 監督として修正できるCHANCEがあったにも関わらず, CONTINUITYがすごく上手かったのもあって, そのまま進めてしまいました. 細かい部分の目の配が足りなかったのかもしれません. あのUNCUTだけでこう受け取られるんだという驚きもありましたし, DIOを好きになってくれた人に対して, 今でも申し訳なく思っています. そういうCUTを作ってしまった責任は, いつか果たそうと思っていて, "DIOは生きています" ということを伝えたくて, 本放送が終わってすぐに, この小説になっているFRIENDSという企画を出しました. 事情があって, 残念ながらANIMATIONFRIENDSは実現しませんでしたが, その後, LASTEXILE続編の企画が立ち上がりましな. 他の作品があって中断もしましたけど, PROCUDERSANDSTAFFと次のEXILEはどんなものを作ろうかって話を進めて, "新しい主人公での新しいSTORY" という方針が決まりました. はじめは, TEDDYという少年を主人公にした話で, 今作でのGLACIESにIDEASが残っています. CLAUSたちとは真逆の, 自由に空を飛ベないROCKET戦闘機の少年士が, 自由に空を飛ベるVANSHIP乗りと触れ合うことで変わってゆく, というSTORYでした. 第一話のSCENARIOは, 決定稿まで進んでいましたが, 主人公TEDDYの性格がCLAUSとCHARAが被ってしまつて, 熱血CHARAに変えたりすれば違いは出せるけれど, LASTEXILEという作品には合わない. その時期に "主人公を女の子にしたらどうですか?" と言うPRODUCERからの提案もあって, 路線変更をすることにしました. LASTEXILEFAMでも拘ったのは, やっぱり "TANDEM" と "すれ違い" です. そして今作では, 制作途中に起きた東日本大震災の存在が大きくて "人のために何かをしたい" と強く願う話にしたいという気持が, さらに大きくなりました. DIOが生きて元気でいることを見せたかつた -FAMTHESILVERWING- では、 1話からDIOを登場させました. 明るくて頼りになるお兄さんなDIOです. FAMTHESILVERWING の制作中に FRIENDS ANIMATION化の可能挫は, ほぼ無くなりました. 制作陣に反対をされたのを押し切った形になりましたが, 総集編2(15.5話)と最終話で, 車椅のCLAUSを登場させたのは, 前作の最終回のAGONの儀式で思考改造されて記憶の混乱があるままのDIOから, DIOを変える努力をした人がいるということを描きたかったからです. 数CUTでな "CLAUSは車椅子に乗るほど足が悪いでず" "今のままだとVANSHIPに乗れないかもしれません" と描いておけば, DIOとCLAUSの話が作れなくても, この作品やDIOが好きな人たちが "CLAUSとDIOに何があったの?" と色々考え, 想像してLASTEXILEとLASTEXILEFAMの間に起きた出来事を繋いでくれる気がしたからです. 小説の話をいただいたのはLASTEXILEFAMの放送を終えて数ヶ月が過ぎた頃, 同人誌でも良いからFRIENDSを実現したいと考え始めていた矢先のことでした. 初めての小説で, つたなく短いものですが, ようやくLASTEXILEとLASTEXILEFAMを繋ぐ物語を伝える事が出来て本当に嬉しいです. 今回の短編小説でも, 敵はDELPHINE. 正確に言うと, COCCINELLAやAPISが今でも縛られている <死んでいるDELPHINE> の恐怖が, GUILDの少年たちを動かします. 不条理で底の知れない悪役感が魅力的だったDELPHINEは, ほんの些細な失敗や, お天気が気に入らないくらいのことで簡単に人を殺めたりします. 反面, 気まぐれにCOCCINELLAやAPISたちをギュッと抱きしめたりして -お前は本当の弟のよう- とか言ったりしていたのだと思います. GUILD人たちは, そんなDELPHINEを影で -お姉さま- と慕っていたのかもしれません. そんな歪んだ思慕があるので, DELPHINEの本当の弟であるDIOに対して嫉妬している部分もあったはず. そんな彼らが, DIOをGRANDSTREAMで拾って利用します. "兵士の首が飛んだ" という表現は, ANIMATIONでは絶対出来ません. 小説だから書けました. ひと言入れるだけで, 精神的にDELPHINEの支配下にあったころのDIOの容赦ない怖さを出せたと思います. DIOが最後のSCENEで語る "ぼくは許されるのかな" という言葉は, "贖罪" よりも "生きている人のため, 未来のために働く" ということ. "お前にはその力があるのだから" という未来に繋がる形です. だからDIOは LASTEXILEFAM では, ANATORAYにいる事が出来ます. 前作を知らない人小説を読んで "車椅子に乗っているCLAUSという少年は, DIOのためにこんなことをした" ということを知ってもらえたら, FAMでのDIOの事をもっと好きになってくれると思って, それでLASTEXILEにも興味を持ってくれたら最高に嬉しいです. 今回の小説の中では, 当初DIOはLUCCIOLAが死んだって言うのは分かってないけれど, 拘留されているときにLUCCIOLAの死を知らされたのでしょう. SILVIUSの独房の中で "大切な友達" のことを考える時間は, 一杯あったと思います. "自分を生かすために, LUCCIOLAは死んだ. だったら許されるなら自分は生きて誰かを生かそう, そのとき "LUCCIOLAのように誰かを生かす" という気持ちが生まれたのだと思います, DIOは単座で飛ぶようになったけれど, 今でもLUCCIOLAの想いをNAVI席に乗せて空を飛んでいるのです.